なぜ、人は酔うのか?
アルコールを摂取すると、血液に入り、循環されて脳に到達します。脳に到達したアルコールは、脳の神経細胞を麻痺させ、判断・思考能力の低下を引き起こします。これが「酔った」状態となります。
酔いの6段階評価
どのくらい酔っているかは脳内のアルコール濃度により、個人差があります。アルコールの血中濃度によって、酔いの状態は「爽快期」「ほろ酔い期」「酩酊初期」「酩酊期」「泥酔期」「昏睡期」の6段階に分けられます[1]公益社団法人アルコール健康医学協会『飲酒の基礎知識』URL:http://www.arukenkyo.or.jp/health/base/index.html。
酔いの段階(アルコールの血中濃度(%)) |
酒量 |
酔いの状態 |
爽快期 (0.02~0.04) |
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ほろ酔い期 (0.05~0.10) |
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酩酊初期 (0.11~0.15) |
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酩酊期 (0.16~0.30) |
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泥酔期 (0.31~0.40) |
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昏睡期 (0.41~0.50) |
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飲んだお酒は身体の中で、どう代謝するのか?
- 口から入ったアルコールは胃から約20%、小腸から約80%が吸収されます。
- 吸収されたアルコールは、血液に入り、全身にいきわたります。
- 体内に入ったアルコールの大部分が肝臓で代謝されます。肝臓でアルコールは、アセトアルデヒドを経て、アセテート(酢酸)に分解されます。
- アセテート(酢酸)は血液によって全身をめぐり、筋肉や脂肪組織などで水と二酸化炭素に分解されて体外に排出されます。
- 摂取されたアルコールの2~10%が、そのままのかたちで呼気、尿、汗として排泄されます[2]公益社団法人アルコール健康医学協会『飲酒の基礎知識』URL:http://www.arukenkyo.or.jp/health/base/index.html。
二日酔いとはどういう状態か?
アルコールは、ビール中瓶1本ですと、約3~4時間体内にとどまります。この量が増えれば増えるほど、アルコールが体内から消失するまでに時間を要するようになり、体質的にお酒に弱い人や女性はもっと長い時間がかかります。
前述の③番の状態で、人間はアルコールをアセトアルデヒドに分解します。そのままアセテート・水・二酸化炭素に分解されれば良いのですが、お酒をたくさん飲み過ぎると、肝臓が充分にアセトアルデヒドを処理しきれなくなります。
このアセトアルデヒドという物質は、タバコの煙などにも含まれる有害物質で、吐き気、動悸、胸やけ、胃もたれ、頭痛などを引き起こす働きがあり、これが二日酔いの原因となります。
違うお酒を次々と飲む「チャンポン」は、悪酔いしやすい・二日酔いを起こしやすいをよくいわれています。アルコールが混ざると考える人も多いですが、どちらかというと、アルコールの種類を変えているうちに、自分が飲んだ量がわからなくなるため、飲み過ぎてしまう傾向にあり、結果的に二日酔いにつながりやすくなります。
適正飲酒量の目安
- ビール 中瓶1〜2本
- 日本酒 1〜2合
- ウイスキーシングル 1〜3杯
二日酔いを避ける飲み会対処法
①チェイサーをなるべく一緒にとる
吸収を抑えるには、お酒を飲むときに、アルコール以外の水分を同時にとると、体内でアルコールが薄まり、吸収を抑えることができます。チェイサー(水やソフトドリンクなど)をなるべく一緒にとりながら、アルコールを薄めましょう。
②つまみを先に食べる
空腹時にお酒を飲むと、アルコールが急速に吸収され、悪酔いの原因になります。つまみを食べながら飲めば、胃の中の食べ物が膜をつくり、胃の粘膜を保護してくれます。
おすすめのおつまみ


③食べながら飲む
食べ物を口に運ぶことで飲み方がゆっくりになり、アルコールの吸収もゆるやかになります。
ネバネバ食材:オクラ、なめこ、長芋などのネバネバ食材には、胃や腸の粘膜を保護するムチンが含まれています。
たんぱく質を含むもの:枝豆や豆腐、肉、魚などのタンパク質を一緒に食べると肝機能をサポートしてくれます。
④飲んだ後すぐ横にならない
飲んだ後すぐに横になると胃液が逆流してしまい、胃食道逆流症の原因になります。翌日、胃がムカムカする・胸やけがする…といった要因になりますので、飲酒後、横になりたくなる気持ちはとてもよくわかりますが、飲酒後2〜3時間は横にならないことが望ましいです。
⑤飲んだあとの水分補給
アルコールを飲んだ後は、脱水症状になっているケースが多いです。飲み会終了後や家に帰った後、寝る前などに、水分を補給してから休むようにしましょう。これだけでも翌日の様子が変わります。
それでも二日酔いを起こしてしまったら?
①まず水分補給を行う
アルコール類には利尿作用があるため、二日酔いを起こしている人は、大概、脱水状態になっていることが多いです。まず、水分補給をしっかりと行うようにしましょう。

②あっさりとした朝食・昼食を摂取する
胃がムカムカしていたり、機能が弱っている可能性があるため、二日酔いの時は、こってりした食材や飲み物は避け、あっさりとした食事を心がけましょう。

③ビタミンB1の摂取
アルコールが肝臓で分解される際には、同時にビタミンB1を消費します。豚肉、うなぎ、レバー、卵黄などを補うと、代謝を高めてくれます。

④コーヒーや緑茶の摂取
コーヒーや緑茶にはカフェインが含まれており、利尿作用があります。二日酔いになった翌日に摂取すると、アセトアルデヒドの排出を早めます。ただし、コーヒーは、胃を刺激するため、朝に飲む際は、牛乳をいれてカフェオレなどにしてください。
さいごに
二日酔いになると、昨夜飲んだことを後悔しますよね。せっかく楽しいひと時を過ごしていたのに、その思い出さえも二日酔いひとつで悪い印象になってしまうため、飲み方には気をつけたいもの。
普段の飲み方から、二日酔いをしにくい飲み方・食べ方を実践したり、飲んだ後のケアを丁寧に行うことで、二日酔いを防止していきましょう。
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References
↑1, ↑2 | 公益社団法人アルコール健康医学協会『飲酒の基礎知識』URL:http://www.arukenkyo.or.jp/health/base/index.html |