おせち料理とは、「御節料理」と書き、お正月に食べる祝い料理のことを指します。元旦や五節句などの節日を祝い、収穫の報告や感謝の気持ちを込め、神様にお供えして食べるものを「御節供(おせちく)」と呼んだところから始まっています。
今回は、おせちの意味や由来ごとに整理しました。
おせち料理の意味を楽しみながら、召し上がってみてください。
「健康」「長寿」を願うおせち料理
おせち料理には、様々な意味が込められています。
中でも健康な生活や長寿を願う意味合いが込められているものは多く、黒豆、えびのうま煮、菊花かぶ、お雑煮などが挙げられます。
おせち料理の定番「黒豆(くろまめ)」
おせち料理の黒豆の意味は、黒く日焼けするほどマメに、勤勉で健康に暮らせるようにとの願いが込められています。
「黒」は、道教において魔除けの色とされ、1年の災いを払う邪気払いの意味があります。「まめ」とは、何事にも精を出すことや、体が丈夫で健康なことを指し、「まめに働く」などの語呂合わせからも、おせちには欠かせない料理です。
また、地域によっては、あえてシワが出るように煮て、シワができるほどの長寿を意味することもあります。鍋で長時間黒豆を煮詰めるのは手間ですが、炊飯器を使えば、簡単につくることができます。
おせち料理の定番「えびのうま煮」
えびは漢字で「海老」と書くように、長いひげや体の曲がった様子が老人に例えられ、長寿の象徴とされています。おせち料理では、えびのように腰が曲がるまで長生きすることを願います。
おせち料理の定番「菊花かぶ」
菊は国花であり、祝い事に欠かせない花であることから、繁栄や健康を願います。
菊花かぶとは、冬が旬のかぶを、おめでたい菊花のように飾り切りしたもので、紅く染めて、紅白の酢のものに仕立てることもあります。
おせち料理の定番「お雑煮」
お雑煮とは、年中行事に年神様にお供えした食物を煮て食べたことに由来します。年神様の恩恵を頂くことで、1年の無病息災を願います。名前の由来には諸説あり、昔から温かいものを食べ、お腹を温めることで胃腸などの五臓六腑を健康に保ち、病気にかからないようにする「保臓(ほぞう、ほうぞう)」という考え方から、「烹雑(ほうぞう)」という当て字の料理が転じて雑煮となったといわれています。
お雑煮の具材にも意味があり、武家社会の中では、野菜とお餅が入っていることから、「名(菜)を持ち(餅)上げる」意味があり、縁起が良い食べ物として重宝されました。
「家族円満」「家内安全」を願うおせち料理
おせち料理には、家族の健やかなる関係や円満な家庭に対する願いも込められています。
おせち料理の定番「煮しめ」
おせち料理の定番である「煮しめ」は、様々な具材を一緒に煮ていることから、家族一緒に仲良く結ばれることを願います。煮物に入れる具材にもそれぞれ意味があり、縁起物が選ばれることが多いです。
家族の円満を願う煮しめには、具材にも一つひとつ意味があります。ここでは代表的なものについて説明します。
里 芋:子宝(種芋を植えると子芋が多くつく)
八つ頭 :出世(頭となる)、子孫繁栄(子芋がたくさんつく)
くわい :昇進・躍進(大きな芽がでる)、子孫繁栄(子球がたくさんつく)
たけのこ:立身出世(天に向かって伸びる)、子どもの成長(成長が早い)
れんこん:計画性(穴があいていることから、見通しの良い1年)
にんじん:成就(梅型にんじんは、花が咲くと実を結ぶ縁起物)
ごぼう :継承(根を深く張り、代々続く)
しいたけ:壮健
こんにゃく:良縁・家庭円満
「学業」「出世」を願うおせち料理
知識や学問、自分自身の成長を願うおせち料理には、伊達巻、ブリの照り焼きなどがあります。
おせち料理の定番「伊達巻(だてまき)」
「伊達」という言葉は、伊達政宗が派手好きだったことから、華やかさや派手さを表し、華やかな卵焼きという意味で伊達巻という名前がついたという説と、伊達政宗が魚のすり身に卵を混ぜて焼いたものを好んで食べたから伊達巻という説、江戸時代に長崎から江戸に伝わったカステラ蒲鉾が、伊達者(シャレ者)たちの着物に似ていたため伊達巻という名前がついたなど、その由来には諸説あります。
形が、巻き物が書物や掛軸に似ていることから、知識や学問、文化の発展を願って食べられます。また、昔は、大事な文書や絵は巻物にしたため、おせち料理には他にも巻いた料理が多くあります。
おせち料理の定番「ブリの照り焼き」
ブリ(鰤)は、稚魚から成魚になるまでに呼び名が変わる出世魚です。おせち料理のブリは、ブリを食べることで、立身出世を願う意味があります。
おせち料理の定番「えびのうま煮」
えびのうま煮は、先ほど長寿の願いについてもお話しましたが、同時に出世の意味合いも持ちます。えびの脱皮をする様は、生命の更新を意味しており、脱皮を繰り返すえびは、出世を願うものとされています。
また、身が朱色で美しいことから、縁起物や魔除けの意味を持っています。
次は、金運、開運、商売繁盛などを願うおせちについてです。